永続性メモリ(Persistent Memory:PMEM)は、近年注目されている新しい記憶装置です。
従来のメモリは電源を切ると保存されていたデータが消えてしまう揮発性のメモリでしたが、PMEMは電源を切ってもデータが消えない永続性(不揮発性)という特徴を持ちます。
本記事では、PMEMの基本的な特徴や用途について解説します。
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目次
PMEMの基本知識
PMEMの概要
PMEMは従来のメモリとNANDフラッシュメモリの中間に位置する記憶装置です。
コンピューターは通常、CPUで処理したデータをメモリ(DRAM)に一時保存し、その後データをSSDやHDDなどのストレージに保存します。
SSDにはNANDフラッシュメモリ、HDDには磁気ディスクが使われています。
DRAMは高速である一方、揮発性であり、電源を切るとデータが消失します。
一方で、NANDフラッシュメモリや磁気ディスクは電源を切っても永続的にデータを保持できますが、DRAMに比べてアクセス速度が非常に低速です。
特に機械学習やデータ分析など、大量データを処理するときは、この速度差がシステム全体のパフォーマンスに大きな影響を与えます。
PMEMは、高速にアクセスできるだけでなく永続的にデータを保持できる特徴を持っており、DRAMとNANDフラッシュの性能差を埋める重要な技術とされています。
PMEMの仕組み
PMEMは、DRAMと同様にDIMMスロットに装着され、CPUと直接接続されます。
そのため、SSDやHDDよりも高速なアクセスが可能です。
また、PMEMは、主に以下の2つのモードで動作します。
・メモリモード
DRAMと同じく揮発性メモリーとして動作し、頻繁に使うデータを高速に処理する。
・アプリケーション・ダイレクトモード
ストレージとして機能し、永続化が必要なデータを直接保存する。
この2つのモードを使い分けることで、DRAMに近い処理能力とデータの永続性を両立することができます。
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PMEMと他の記憶装置との違い
性能の比較
記憶装置の主な性能を以下の表にまとめました。
種別 | 装置 | レイテンシ(目安) | 容量 | 単価 |
揮発性メモリ | CPUレジスタ | ~0.1ns | 非常に小 | 非常に高 |
キャッシュ(Cache) | ~10ns | 小 | 高 | |
DDR DRAM | ~100ns | 中~大 | 高 | |
不揮発性メモリ | PMEM | ~1μs | 大 | 中 |
不揮発性ストレージ | NAND フラッシュメモリ、SSD | ~100μs | 大 | 中 |
HDD | ~10ms | 大 | 低 | |
テープストレージ | ~100ms | 非常に大 | 非常に低 |
※レイテンシの単位:
ms(ミリ秒)= 1/1,000秒
μs(マイクロ秒)= 1/1,000,000秒
ns(ナノ秒)= 1/1,000,000,000秒
従来のメモリ(揮発性)は、処理速度が非常に速い一方で、容量が小さく価格も高価です。
一方、ストレージ(不揮発性)は、大容量データの保存が可能ですが、処理速度は遅くなります。
そのため、一般的にメモリはCPUが処理するための一時的な記憶に、ストレージは長期的なデータの保存を行う用途に利用されてきました。
PMEMは、DRAMの高速性とストレージの永続性を兼ね備えており、両者の中間に位置する性能を持っています。
具体的には、不揮発性でありながら、これまでストレージで最も高速であったSSDよりも遥かに低いレイテンシでアクセスが可能です。
また、PMEMの容量は128GB、256GB、512GBといった大容量モデルが提供されており、複数搭載することで数TB規模の構成も可能です。
このように、PMEMはこれまでの不揮発性ストレージに比べて圧倒的に高速で、メモリとストレージの性能差を解決する技術として活用されています。
PMEMの向き・不向き
PMEMはメモリとストレージの中間の性能を持っていますが、どのシステムに組み込んでも効果を発揮するわけではありません。
導入の効果が大きいケースと、そうでないケースがあります。
・PMEMが向いているケース
キャッシュ用途:性能向上を目的とする場面
データベースやデータ分析:大容量データの読み込みが頻繁に発生するシステムで性能向上が期待できる
・PMEMが向いていないケース
頻繁な書き込み処理が発生するシステム:書き込み速度はDRAMの方がパフォーマンスが高い
長期データの保存:読み書き頻度が低く、コスト重視の場合はSSDやHDDの方が適している
このように、PMEMの性能を最大限に引き出すためには適切なシステムと用途に合わせた挿入が重要です。
導入前に使用目的を明確にし、性能とコストのバランスを見極めることが求められます。
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PMEMの用途
PMEMは、これまで課題とされていたメモリとストレージ間の性能差を解消する技術として、様々なシステムで導入が進んでいます。
ここでは、PMEMが活用される主な用途について解説します。
インメモリデータベース
リアルタイム性が求められる大量データシステムでは、インメモリデータベースが活用されています。
従来の揮発性メモリを使用した場合、電源を停止するとデータが失われるため、システム起動時にデータを再ロードする必要がありました。
しかし、PMEMを使用することで、データの永続性が確保され、再ロードが不要になるため、起動時間の短縮やパフォーマンス向上が期待できます。
代表的なインメモリデータベースには、RedisやSAP HANAなどがあります。
キャッシュ
PMEMは、メモリ(DRAM)とストレージ(SSD・HDD)の処理速度の差を埋めるキャッシュ用途にも適しています。
高い読み取り速度と永続性を活かすことで、システム全体の処理速度を向上させ、さらに障害発生時にもデータを保持できるため、迅速な復旧が可能です。
実際の活用例としては、オラクル社が提供するエンジニアドシステム「Oracle Exadata X8M」において、ストレージサーバーにPMEMを採用し、データベース処理性能の大幅な向上を実現しています。
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仮想環境・クラウドインフラ
PMEMの高速なアクセス性能は、仮想化環境やクラウドインフラにおいても有効です。
多くの仮想マシンを稼働させる環境では、メモリとストレージ間のデータ転送が頻繁に発生するため、PMEMを利用することで仮想環境全体のパフォーマンスが大きく向上します。
具体的には、仮想マシンの起動や、仮想マシン間のデータ共有を高速に行うことが可能です。
ログの記録および分析
ログはリアルタイムで記録・処理されることが多く、PMEMを利用することで高速な書き込みと分析処理が実現できます。
特に、大量のログを扱うシステムでは、PMEMの導入により記録の遅延が減少し、即時分析にも対応可能となります。
これにより、ログの可視化や有効活用がより迅速かつ効率的に行えるようになります。
まとめ
本記事では、永続性メモリー(PMEM)について解説しました。
従来のシステムでは、メモリとストレージ間の性能差が大きく、このギャップがシステム全体のパフォーマンスに大きな影響を与えていました。
PMEMは「電源を切ってもデータが消えない」という永続性と、「DRAMに次ぐ処理速度」を兼ね備えており、こうした課題を解決する技術として注目を集めています。
特に、近年需要が高まっている大容量データを扱うデータ分析・機械学習・AIシステムなど、多くの分野で導入が進んでいます。
今後もPMEMは様々な分野での活用が期待されます。
システムの性能改善や最新技術の導入を検討している方は、ぜひ本記事を参考に、PMEMの導入を検討してみてください。
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