昨今では、1台の物理サーバー上に複数の仮想サーバーを稼働させ、リソースを効率よく活用する「仮想化技術」が普及しています。
この技術を利用し、クラウドサービスやVPSなど多くのサービスが提供されています。
仮想化を実現するソフトウェアの中でも最も普及しているのが、「VMware」です。
本記事では、VMwareおよび仮想化技術について詳しく解説するとともに、他の仮想化ソフトウェアとの違いについても説明します。
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目次
仮想化技術とは
サーバーの仮想化と、専用のソフトウェア
仮想化技術とは、物理的なサーバーやネットワークなどのハードウェアを論理的に複数の仮想マシンに分割する技術です。
例えばサーバーでは、1台の物理サーバー上に複数の仮想サーバーを起動させ、同時に複数のOSを動作させることが可能となります。
また、対応しているOSであれば、種類やバージョンを混在させて稼働させることもできます。
この仮想化技術を利用するには、専用のソフトウェアを使用します。
ソフトウェアには「VMware」「Microsoft Hyper-V」「Cytrix XenServer」などがあります。
仮想化技術の種類
仮想化技術の種類は、主に3つあります。
デスクトップの仮想化
デスクトップの仮想化は、VDI(Virtual Desktop Infrastructure)とも呼ばれ、他の端末からデスクトップ環境を利用できる技術です。
例えば、会社で使用するPCと同じ環境をVDIで作成すれば、自宅からVDIに接続するだけで自宅にいながら会社と同じ環境で仕事をすることができます。
また、VDIに接続する自宅PCにはデータが保存されないため、セキュリティに問題にも対応できます。
特にコロナ禍では、VDIを利用して多くの企業がリモートワークを実現しています。
VDIについてもっと知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
サーバーの仮想化
最も一般的な仮想化が、サーバーの仮想化です。
1台の物理サーバー上に複数の仮想サーバーを稼働させることで、CPUやメモリなどのリソースを有効活用できます。
また、仮想サーバーは作成や削除が容易なため、拡張性が大きく向上するというメリットもあります。
サーバーの仮想化についてもっと知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
ネットワークの仮想化
ルーターやスイッチ、ロードバランサーなどのネットワーク機器をソフトウェア上で仮想サーバーのように動かす技術です。
サーバーを稼働してサービスを提供するには、サーバーに接続するためのネットワークが必要です。
ネットワーク機器を仮想化することで、ネットワーク機器がなくともソフトウェア上で実現できます。
仮想化を利用することのメリット
仮想化を行うと、以下のようなメリットが得られます。
- 管理コスト削減
- 管理工数の削減
- 拡張性、可用性の向上
通常サーバー上でOSやアプリケーションを起動させサービスを提供している状況では、常時そのサーバーのリソースを使っているわけではありません。
例えば、1年の中でのピーク時や、数年後の利用状況を想定してサーバーを設計した場合は、サーバーのリソースがフルに使われることはなく余剰分が存在することになります。
そのようなサーバーが大量に構築されると、非効率なリソースの使われ方をするだけでなく、管理工数やコストが増大します。
仮想化を行えば、余剰リソースを使って他の用途に利用できるサーバーを稼働することができます。
これにより、1台の物理サーバーにサーバーを統合することでリソースを効率よく使えるだけでなく、管理工数やコストを削減できます。
さらに、仮想サーバーは簡単にサーバーの作成、複製ができるため、拡張性や可用性の向上にも期待できます。
仮想化のデメリット
仮想化によって考慮が必要なデメリットは以下が挙げられます。
- 十分な処理能力が求められる
- 必要リソースの見極めが難しい
1台の物理サーバーに複数の仮想サーバーが稼働するため、仮想サーバーの性能は物理サーバーの能力に依存します。
そのため、性能が低いサーバーで仮想サーバーを動作させてしまうと、場合によっては性能が劣化してしまう可能性もあります。
また、物理サーバー上で稼働させる仮想サーバーの用途や数が自由に決められる分、必要な物理サーバーのリソースの見極めが難しいという点があげられます。
あらかじめサーバーの目的や用途を決めておかないと、仮想サーバーを構築しようとしたもののリソースが足らないということになりかねません。
VMwareとは
仮想化を行うのに最もよく利用されているソフトウェアが「VMware」です。
ここからは、VMwareについて解説します。
VMwareの特徴
VMware は、サーバーの仮想化を実現するソフトウェアです。
VMwareには、サーバーの仮想化以外にも、ネットワーク仮想化、VDI(デスクトップ仮想化)、仮想ホストを統合管理する機能など、さまざまな仮想化に関連する製品がラインナップされています。
最近では大規模システムや基幹システムといった重要なシステムの仮想化も利用されており、高い信頼性や可用性・拡張性を誇っています。
VMwareの機能
VMwareは仮想化技術を実現するだけでなく、仮想化技術を利用したさまざまな機能が利用できます。
ここでは、サーバー仮想化ソフトウェア「VMware vSphere」の機能を紹介します。
VMware vSphere vMotion
「VMware vSphere vMotion」は、仮想サーバーを停止させることなく、別の物理サーバーに移動させることができる機能です。
例えば、物理サーバーをメンテナンスしたい場合に、その物理サーバー上に稼働している仮想サーバーを移動させ、ダウンタイムなしにメンテナンスを行えます。
仮想サーバーだけでなく、仮想ディスクも停止させずに移動できる「VMware vSphere Storage vMotion」という機能もあります。
VMware DRS
「VMware DRS」は、物理サーバー上のリソースが不足したとき、特定の仮想サーバーをリソースに余裕がある物理サーバーへ自動的に移動する機能です。
これによりリソース不足によるパフォーマンス劣化を防ぐことができます。
VMware HA
「VMware HA」は、物理サーバーに障害が発生し停止した場合に、その物理サーバー上で稼働していた仮想サーバーを別の物理サーバー上で再起動する機能です。
これにより、障害によるダウンタイムを最小限に留めます。
VMwareのストレージ仮想化「vSAN」
「VMware vSAN」は、複数台の物理サーバーに内蔵されているHDDやSSDなどのディスクをネットワーク越しに束ね、ひとつの仮想データストアを構築するストレージ仮想化技術製品です。
それまでは、高価な共有ストレージを導入・増設する必要がありましたが、この機能によって物理サーバー内のディスクをつかって簡単にディスクの増設・拡張が可能になります。
VMwareのネットワーク仮想化「NSX」
「VMware NSX」は、スイッチやルーター、ファイアウォール、ロードバランサーなどのネットワーク機能を、ソフトウェアで実現するネットワーク仮想化プラットフォームです。
VMware NSXによってネットワークリソースがハードウェアから分離され、柔軟なネットワークの構成が可能となります。
VMwareと他の仮想化ソフトウェアとの違い
VMware以外にも、仮想化ソフトウェアは存在します。
今回は、CitrixとHyper-Vをご紹介します。
Citrix
「Citrix」は、Citrix Systems社が提供する仮想化ソリューションで、デスクトップ仮想化を実現する「XenServer」、サーバー仮想化を提供する「XenDesktop」などがあります。
オープンソースのXenをベースにしており、XenはCitrix XenServer以外にもOracle VMやSun xVM Serverなどその他の仮想化ソフトウェアのベースにもなっています。
VMwareとCintrix XenServerの違いは、仮想ドライバの入出力を仲介する物理ドライバの場所が異なるという点です。
VMwareでは、ハイパーバイザー内(VMKernel)に物理ドライバを持ちます。
そのため、VMwareはハイパーバイザーを経由してデバイスにアクセスします。
対してXen Serverの場合は、ドメイン0と呼ばれる管理用のOSが物理ドライバを持ちます。デバイスへのアクセスはこのドメイン0を経由して行われます。
Hyper-V
「Hyper-V」は、マイクロソフト社が提供している仮想ソフトウェアで、Windows Server 2008から導入されています。
Windows Serverはもちろん、Windows8や10でも利用できるため、システムの規模によらず仮想環境の構築が実現できます。
VMwareとHyper-Vの違いも、物理ドライバの場所が異なるという点です。
Hyper-Vでは、親パーティションと呼ばれる管理用のOSが物理ドライバを持ちます。
Hyper-Vでは、他の仮想サーバー(子パーティション)を管理する親パーティションが存在するという点が特徴です。
まとめ
本記事では、仮想化技術および仮想化を実現するソフトウェア「VMware」について解説しました。
仮想化技術はクラウドやVPSなど、身近に利用できるものであり、これらの知識は必須ともいえます。
ぜひ本記事の内容を理解し、仮想化技術に触れてみるとよいでしょう。
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