Pythonを使用する際には、WindowsやMacにインストールする方法やブラウザ上で実行できるツールを使うなどの幅広い選択肢がありますが、Linuxにインストールすることには独自の利点があります。
この記事では、そのメリットとインストール手順に焦点を当てて解説します。
LinuxでPythonを使用する主な利点は以下の通りです:
- 環境構築のコストが低い
- 高いセキュリティ
- 低スペックのPCでも十分なパフォーマンス
本文で詳しく解説していきます。
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目次
LinuxにPythonを導入するメリット
まず、Linux環境でPythonを使用するメリットについて解説します。
低スペックのPCでも動作する
LinuxはWindowsやmacOSと比較して、低いスペックのPCでも動作します。
そのため、数年使っていなかった型落ちのPCなどでも動作する可能性があります。
Linux OSの中で人気のあるUbuntuでは次のようなスペックが推奨されています。
- 2 GHzデュアルコアプロセッサ以上
- 4 GBシステムメモリ
- 25 GBのハードドライブ空き容量
- DVDドライブまたはUSBポート(インストールメディアとして使用)
- インターネットアクセス(推奨)
環境構築コストが安い
実施にPythonを動かせるようになるまでの環境構築がネックで実践できていないという人も多いかもしれません。
しかし、Linuxを使う場合は環境構築の際の時間や労力といったコスト面で容易といえます。
例えば、UbuntuというLinux OSにはPythonがプリインストールされているため、Pythonをダウンロードしてきて、展開する作業は必要ありません。
比較的安全性が高い
Linuxは普及率が全体で3%と広く使われているOSとは言い切れないため、多くのマルウェアはWindows向けに作られています。
そのため、比較的安全性が高いと言われています。
ただし、Webサーバーに限っては、シェアは80%を超えているため、サーバーOSとして利用する場合はセキュリティ対策が必要です。
Pythonインストールの前提条件
次にPythonのインストール条件として、システム要件を解説します。
サポートされているオペレーティングシステム
Python
具体的には、以下のオペレーティングシステムでサポートされています。
- Windows (Windows 7以降)
- Linux(Ubuntu、Fedora、CentOSなど)
- macOS(macOS 10.9以降)
最低限必要なハードウェア
必要なハードウェアスペックとしては、メモリとストレージに条件があります。
RAM:少なくとも4GBのRAMが必要ですが、特に大きなデータやリソース集約的なアプリケーションを扱う場合はそれ以上が望ましいです。
ストレージ:Pythonのインストール用に少なくとも5 GBの空きディスク容量が必要で、さらに使用する予定のライブラリ、パッケージ、プロジェクトファイル用の空き容量が必要になります。
メモリ | 4GB以上。大きなデータを扱う場合はそれ以上が望ましい。 |
ストレージ | Pythonインストールのために5GB。ライブラリやプロジェクトファイルなどに応じて容量が必要。 |
Pythonのバージョンによる違いについて
Pythonには、Python 2.X系とPython 3.X系があります。
それぞれに互換性がない部分があるため注意が必要です。
また、2.X系は2020年に公式サポートが終了しているため、使用する場合はセキュリティに気をつける必要があります。
そのため、現在は3.x系を使用することが推奨されています。
ここではバージョンごとの違いについて文章と数値にフォーカスして解説します。
文章の記述方法
Pythonのバージョンによって、文章の扱い方が変わりました。
2.X系では文章は文字列としてシングルクォーテーション(’)やダブルクオーテーション(”)でくくる方式が取られていました。
一方、3.X系では関数として取り扱うようになりました。
例えば、「Hello,world」と出力したい場合、以下のように記述します。
2.X系
printf ‘hello, world’ もしくは printf ”hello, world”
3.X系
printf (‘hello, world’)
数値の出力方法
バージョンによって数値の表現方法が変わります。
2.X系では「10÷3」の関数を実行したときに出力されるのは「3」ですが、3.X系では「3.3333333333333335」と表記されます。
LinuxにPythonをインストールする手順
次は実際にUbuntuにPythonをインストールします。
今回は、ミライサーバーのVPSを利用し、仮想マシン上に構築されたUbuntuを使用します。
※ミライサーバーではUbuntu 22.04.2 LTSなどのOSをインストールした状態からお使いいただけます。
仮想マシンのスペックは以下のとおりです。
- CPU:4コア
- Memory:4GB
- Disk:SSD300GB
Ubuntuは以下のバージョンを利用しています。
- Ubuntu 22.04.2 LTSPHP(バージョン8.0以上)
Pythonがプリインストールされているか確認する
ターミナルを開き次のコマンドを実行します。
2.X系の場合
python –version
3.X系の場合
python3 –version
インストールされているとこのような応答が返ってきます。
ちなみにインストールされていないバージョンのコマンドを実行するとこのようにコマンドがない旨が返ってきます。
Pythonがインストールされていない場合は、以下で説明するいずれかの方法でインストールしましょう。
なお、Linuxの高度な知識を要する方法もあるため、基本的には下記のパッケージマネージャーの手順をおすすめしています。
パッケージマネージャー経由でのインストール
Ubuntuなどのパッケージマネージャーを使用してインストールすることも可能です。
ここではインストールに使用するコマンドを紹介します。
Ubuntu/Debian
sudo apt-get install python3
Fedora
sudo dnf install python3
最新バージョンのPythonをWebからダウンロードする
GUIベースのLinuxを使っている場合は、Webからファイルをダウンロードしてインストールする事もできます。
引用:https://www.python.org/downloads/
ソースからコンパイルする
ソースコードからコンパイルする手順を取りたい方は、Python公式のGitHubからインストールが可能です。
この手順では、以下のコマンドを実行します。
git clone https://github.com/python/cpython
スクリプトを設定しビルドプロセスを完了する
以下のコマンドを実行し、スクリプトからインストールする方法がありますが、Linuxの高度な知識を要するため、おすすめはしておりません。
./configure
make
make test
sudo make install
ターミナルでインストールを確認する
最後にインストールできているかを確認します。
コマンドは手順1で実行したバージョン確認コマンドと同じです。
python3 –version
インストールしたバージョンが表示されれば完了です。
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バージョンの違うPythonを切り替える方法
開発内容によってはPythonを切り替えて使用する必要が出てきます。
その際のPythonの切り替え方法を解説します。
今回はPython2.7とPython3.10がインストールされている環境を使用します。
Redhat系
Redhat系では、「scl(Software Collections)」コマンドを使用して、異なるPythonのバージョンを切り替えます。
次のコマンドを入力して「scl」を有効にします。
sudo yum install -y centos-release-scl
例えば、Python3.10を使いたい場合には、以下のコマンドを入力します。
scl enable rh-python310 bash
Ubuntu/Debian系
インストール時に以下のコマンドで優先順位を付けることができます。
sudo update-alternatives –install /usr/bin/python python /usr/bin/python3.10 1
sudo update-alternatives –install /usr/bin/python python /usr/bin/python2.7 2
インストール時に設定していない場合、以下の手順で設定ができます。
1.優先順位を確認する
以下のコマンドを実行します。
sudo update-alternatives –config python
設定されていない場合以下のように応答があります。
2.Pythonのバージョンを登録する
Pythonのバージョンを登録するには、以下の構文でコマンドを実行します。
sudo update-alternatives –install [pythonの場所] python [pythonの場所][バージョン] [優先順位の数字]
現在のPythonの場所は以下のコマンドで確認します。
which python
どちらも/usr/bin配下にあります。
コマンドに落とし込んでいくとそれぞれ以下のようになります。
sudo update-alternatives –install /usr/bin/python3 python /usr/bin/python3.10 1
sudo update-alternatives –install /usr/bin/python2 python /usr/bin/python2.7 2
ここではバージョン3.10を優先順位1、2.7を優先順位2に設定しました。
3.Pythonの優先順位を確認する
次のコマンドでPythonごとの優先順位を確認します。
update-alternatives –config python
「*」が一番上のSelection0にあるため、現在Python2.7 が使われています。
4.Pythonの優先順位を変更する
Python3.10を優先順位1位にしたい場合、Selectionに書いている「2」を指定します。
もしくは、先程のPython3.10のコマンドを再度実行します。
sudo update-alternatives –install /usr/bin/python3 python /usr/bin/python3.10 1
すると以下のように変更ができます。
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まとめ
LinuxにPythonをインストールすると、複雑な操作をせずにすぐに使用できる環境が整います。
また、比較的スペックの低いPCであっても使えることもメリットです。
インストール自体はパッケージマネージャーからのインストールコマンドを実行するとスムーズに簡単に実行できます。
複数のバージョンを切り替えて利用することもできるため、開発環境に合わせてPythonを実行していきましょう。
開発環境の構築は、できるだけ簡単であるほうが望ましいです。
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この記事で使用したスクリーンショットはUbuntuを使用して撮影しましたが、CentOSやDebianなど他のシステムでも同様に対応可能です。
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2023.08.03
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