NIC(ネットワークインタフェースカード)とは?役割や種類について解説

ケーブルをつかってパソコンやサーバーをネットワークに接続するためには、NIC(ネットワークインタフェースカード)が必要です

NICには、規格によって様々な種類が存在します。

本記事では、NICについて、その役割や種類について解説します

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NICとは

NICの概要

NICは、パソコンやサーバーなどの機器(ホスト)をネットワークに接続するための装置で、LANカードLANボードネットワークアダプターとも呼ばれます。

NICはLANケーブルを差し込むネットワークポートを備えており、拡張スロットに差し込むプリント基板もあれば、マザーボードに組み込まれている内蔵型のNIC、USBに接続して利用するタイプもあります。

現在のパソコンやサーバーでは、ほとんどのマザーボードに内蔵型のNICが組み込まれていますが、追加でネットワークポートを増設したい場合には、拡張スロットに差し込むNICを使用します。

NICの種類

NICは、接続方法や伝送速度、ホストと接続するバスインタフェースの違いにより複数の種類に分類できます。

ネットワークに接続するには、有線で接続する有線NIC、無線で接続する無線NICが存在します。

また、拡張スロットに差し込むNICには、ホストと接続するバスインタフェースの規格によって複数の種類に分類されます。

例えば以下の規格があり、規格によってスロットの形状や伝送速度が異なります。

    • ISA
    • PCI
    • PCI-X
    • PCIe(PCI Express)

ISAは1981年に開発されたアーキテクチャで、伝送速度は9Mbpsです。

かつては主流のバスインタフェースでしたが、現在ではほとんど使われていません。

ISAに代わって主流となったのが、1990年に開発されたPCIです。

PCIには32bit(伝送速度133MB/s)と64bit(伝送速度266MB/s)の2種類のバス幅があります。

このPCIをさらに発展させたのが、PCI-XとPCIeです。

PCI-Xは最大伝送速度が1064MB/s、PCIeではVer5、スロット形状x16で63GB/sの通信が可能です。

このほか、ノートPC向けにPCカードやUSBに接続するNICもあります。

NICのネットワーク帯域

コンピューターが情報をネットワーク上に送信するための容量のことをネットワーク帯域といい、NICの性能を示す値です

ネットワーク帯域は通信速度とも言われることがあり、単位はbps(ビット/秒)です。

これは「1秒間に何ビットデータを送れるか」を示します。

ネットワーク帯域が大きければ大きいほど、1度に送信できるデータ量も大きくなります。

ネットワーク帯域は、規格によって決められています。

規格ネットワーク帯域
10BASE-T10Mbps
100BASE-T100Mbps
1000BASE-T1Gbps
10G-BASE-T10Gbps

注意しなければならない点として、NICだけでなくケーブルネットワークスイッチなども、対応した規格が決まっています

例えば、NICが1000BASE-Tに対応していても、通信経路上のスイッチが100BASE-Tしか対応していなければ、通信は100Mbpsしかできません。

自宅でインターネット通信をしたとき、思うように速度が出ない場合は、通信経路上の機器が規格に対応しているか確認しましょう

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NICの役割

NICは、パソコンやサーバー、プリンターなどの各機器をネットワークに接続する役割を持ちます

ここでは通信の仕組みを解説しながら、NICの役割を説明します。

NICには、全世界で一意となる固有のMACアドレスが割り振られており、MACアドレスを使って通信を行います。

OSI参照モデル

コンピューターがネットワークを介してデータのやりとりを行うとき、ルール(通信規約)にしたがって通信を行います。

この通信規約のことをプロトコルといいます。

現在インターネットを行うときは、「TCP/IP」と呼ばれるプロトコルが広く使われています。

このプロトコルを階層化し、通信の工程ごとに定義した通信モデルが「OSI参照モデル」です。

階層階層名主なプロトコルや規格主な役割
第7層アプリケーション層HTTP、FTP
SMTP、POP3
など
アプリケーションごとの規定
第6層プレゼンテーション層HTTP、FTP
SMTP、POP3
など
データの種類に関する規定
第5層セッション層HTTP、FTP
SMTP、POP3
など
通信モード、同期方式に関する規定
第4層トランスポート層TCP・UDP送受信確認に関する規定
第3層ネットワーク層IP・ICMP通信経路に関する規定
第2層データリンク層Ethernet、PPP伝送路、エラー訂正に関する規定
第1層物理層UTP、光ファイバ、無線物理的な回線や電気信号に関する規定

アプリケーションを使ってデータを送信する場合は、上位層(アプリケーション層)から下位層(物理層)に向けてデータを加工し、ケーブルを通して宛先に送付されます。

データを受信すると、下位層から上位層の順にデータを解析し、アプリケーションで処理されます。

OSI参照モデルについて詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

OSI参照モデルとは。TCP/IPとの違いや階層構造を徹底解説

NICの役割

コンピューターがネットワークを介してデータのやりとりを行うとき、ルール(通信規約)にしたがって通信を行います。

NICは、この中で物理層およびデータリンク層の処理を行う役割を持っています。

送信時、データリンク層はネットワーク層から送信するデータを分割した「パケット」を受け取り、「フレーム」にカプセル化してビット列に変換します。

NICでフレームにカプセル化する際、パケットにMACアドレスをヘッダーに付与します。

MACアドレスとは、NICに付与された全世界で一意につけられている番号で、この住所の役割をします。

これにより、送信先にどこから送られたデータであるかを知らせます。

物理層では、データリンク層から贈られたビット列を電気信号や光信号に変換し、ケーブルを通して相手に送ります。

このように、NICはネットワーク層から送られたデータにMACアドレスを含めたヘッダーを付与したうえでフレーム化し、物理層で信号として相手に送る処理を行います。

仮想NIC

仮想NICとは

仮想環境(VPS)では、1つの物理サーバー上に複数の仮想サーバーが稼働します。

この場合、例えば1つのNICを複数の仮想サーバーが共有することになりますが、送信元がどの仮想環境からか、どうやって識別するのでしょうか。

この時使用されるのが、仮想NICです。

物理サーバー上に、仮想サーバー数分物理NICを拡張するわけにはいきません。

仮想NICは、仮想化ソフトウェアが提供する、ソフトウェア的に物理NICと同じ動作をする仕組みです。

仮想NICにも、MACアドレスが付与されています。

物理NICと仮想NICは、仮想化ソフトウェアにて提供される仮想スイッチに接続されています。

通信では、物理NICおよび仮想NICのMACアドレスをフレームに付与することで、仮想スイッチにて適切な宛先に割り振ります。

まとめ

本記事では、NICについて解説しました。

NICはコンピューターやプリンターなど電子機器が通信をするのに欠かせない装置です。

有線で接続するネットワークインタフェースカードのほか、無線で通信するための装置もNICです。

VPSなどの仮想環境では、仮想NICが使われており、物理NICを共用しています。

仮想NICのおかげで、特に意識することなく物理サーバーと同様に通信を行うことができます

物理サーバーと仮想サーバーの通信の違いを理解しておくとよいでしょう。

仮想化技術については、こちらの記事で詳しく解説しています。

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