UPS(無停電電源装置)とは。予期せぬ停電からデータを守る備えを

予期せぬ停電や電源障害からサーバーなどの電子機器を守るためには、UPS(無停電電源装置)が便利です

UPSを利用すれば、電源からの電力供給が断たれた状態であっても、一定時間電力が供給され、機器やデータを保護することができます

本記事では、電源障害対策の機器であるUPSについて解説します。

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UPSとは

UPSの概要

UPSは、主にパソコンやサーバー、ストレージなどのIT機器の電源障害による故障を防ぐために設置される装置です

例えば、自宅でパソコンを使用しているときにブレーカーが落ちたり、停電することにより、電源が突然落ちてパソコンが故障したことや、データが失われたことはないでしょうか。

同じように、もし金融系や大規模システムでこのような電源障害によってサーバーが停止し、故障やデータの損失が発生すると、致命的な問題になりかねません。

このような予期せぬ電源障害が発生しても、一定時間電源を供給し続け、サーバーやストレージの停止や故障を防ぐ装置がUPSです

UPSの必要性

電源障害は、以下のようなものが考えられます。

    • 落雷や積雪、地震などの自然災害による送電経路の異常
    • 機器の増設による電圧変動や停電
    • 電源設備工事時の人為的なミスによる電源供給断
    • コンセントが誤って抜けてしまう人為的トラブル

電源障害そのものは発生する確率は低いものの、発生するとシステムに重要な影響を及ぼします

通常、メンテナンス等でコンピューターを停止させる場合は、稼働しているシステムを正常にシャットダウンする必要があります。

しかし、停電によって正常なシャットダウンをすることなくシステムが停止してしまうと、最悪の場合、機器の故障やデータの損失を引き起こします。

UPSは、そんなさまざまな電源トラブルからコンピューターを守る役目をします。

停電時でもある程度電源供給がされていれば、その間にシャットダウンを行うことで機器の故障やデータの損失を防げます。

特にデータセンターでは、大量のサーバーやネットワーク機器を扱っているため、大規模な障害にもなりかねません。

自社オフィスでサーバーを運用している場合や、テレワークで自宅パソコンに電源対策をしたい場合は、UPSの導入を検討しましょう

UPS導入のメリット

UPSを導入すると、以下のようなメリットが得られます。

    • 停電しても、UPSのバッテリーから一定時間電源を供給し、システム停止を防げる
    • 過電圧や電圧低下などの電圧変動を調整し、電圧を安定させて機器への影響を防止できる
    • 電源設備や送電設備のメンテナンスに伴う瞬断対策ができる

パソコンやサーバー、ネットワーク機器は、一瞬でも電源が途絶えてしまうと停止してしまいます。

UPSを導入することで、電源が途絶えても機器の停止を防げます

特に企業などの組織では、緊急事態であっても事業を継続する必要があります。

このようなBCP対策を考える上でも、非常時の電源確保のためにUPSを導入することは有効です。

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UPSの仕組み

UPSの構成

UPSは、インバーターや整流器などの電気回路によって構成される電力変換部と、バッテリーなどの蓄電部によって構成されています。

停電や電圧停止が発生しても蓄電池に蓄えられている電力によって安定した電力を供給し続けます。

また、電力変換部によって、電源障害に伴う電子機器への影響を防ぎます。

UPSの給電方式

給電方式とは、通常時および停電時に電力を供給する方式のことです。

主に、以下の3種類の給電方式があります。

    • 常時インバーター給電方式
    • 常時商用給電方式
    • ラインインタラクティブ方式

UPSは、製品によって給電方式が異なるため、給電方式の違いを理解しておくことが大切です。

常時インバーター給電方式

通常時は商用電源からインバーターを経由して電力を供給し、同時にバッテリーへの充電も行う方式です。

整流器で交流(AC)から直流(DC)に変換後、インバーターで直流から交流に戻すことによって、ノイズを取り除き、安定した電力供給を行います。

また、異常時に切り替わる際の瞬断がないのが特徴です。

常時商用給電方式

通常時は商用電源をそのまま給電し、同時にバッテリーへの充電も行います。

常時インバーター給電方式と比べ、通常時は整流器・インバーターによる変換を行わない分、変換ロスは少なく効率がよいですが、給電品質は劣ります。

また、停電時は経路の切り替えを行うため、瞬断が発生する場合があります。

ラインインタラクティブ方式

常時商用給電方式の経路上にAVR(電圧安定化機能)をつけ、停電時も安定した電圧供給を可能にした方式です。

電源電圧の変化が比較的小さい環境に適しています。

常時商用給電方式と同じく、停電時は経路切り替えを行う必要があるため、瞬断が発生することがあります。

UPSを選ぶ時のポイント

UPSが電源障害に対して大変有効な機器であることがお分かりいただけたでしょう。

ここからは、UPSを実際に導入するにあたって、見るべきポイントを紹介します。

バッテリーの容量・寿命

UPSがあるからといって、いつまでも給電できるわけではありません。

また、接続された電子機器を安全にシャットダウンできるまでの電力を確保する必要があります。

そのため、接続する機器と安全に停止できる時間から、必要なバッテリー容量を考慮することが重要です。

また、バッテリーには寿命もあるため、交換にかかる費用も考慮する必要があります。

給電方式

UPSには複数の給電方式があり、それぞれの違いを理解して、適切な給電方式を選択することが大切です。

給電方式ごとのメリット・デメリット、および用途について表にまとめましたので、参考にしてください。

 メリットデメリット用途
常時インバーター
給電方式
安定した電力が供給される
停電時でも瞬断が発生しない
高価
消費電力が大きい
データセンターなど大規模システム
常時商用給電方式小型で安価
消費電力が小さい
切り替え時に瞬断が発生家庭用
ラインインタラクティブ給電方式高機能だが比較的小型で安価
AVRにより電圧が安定している
切り替え時に瞬断が発生家庭用から中規模システム
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UPS連動機能

機器によっては、UPSと連動して自動的に停止する機能を備えたものがあります。

つまり、電源障害が発生しUPSがバッテリー供給に切り替わったタイミングで、接続された機器も自動的に安全にシャットダウンする機能です。

人手を介することなく安全に停止できるため、非常に便利です。

この機能は機器によっては備わっていないものもあるので注意が必要です。

また、この機能が備わっていても、事前に動作確認をしておくことをおすすめします。

接続する機器がUPS連動機能を搭載している場合は、その機器と適合するUPSを利用しましょう。

まとめ

本記事では、「UPS」について解説しました。

テレワークが普及し、オフィスだけでなく自宅でもパソコンを使って仕事をしている人は、停電対策としてUPS導入を検討する必要があります

落雷や積雪、地震などの自然災害や、工事に伴う電源切り替え作業によって電源障害が発生すると、パソコンなどの電子機器が故障したり、データが消失したりする可能性があります。

その対策として、UPSがあると大変便利です。

UPSは製品によってバッテリー容量や給電方式などに違いがあるため、用途にあわせて適切なものを選択しましょう

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