Kerasは、Googleが開発したPythonで書かれたディープラーニング向けのフレームワークです。
構造がシンプルで扱いやすいため、これから機械学習やディープラーニングの初心者の方も、導入を検討している人がいるのではないでしょうか。
本記事では、Kerasの概要からインストール手順まで丁寧に解説します。
エラーの対処法やトラブルシューティングのコツもご紹介するので、ぜひ最後までお読みください。
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目次
Kerasとは
Kerasの概要
Kerasは、Pythonで作成された機械学習・ディープラーニングのためのニューラルネットワークライブラリ(※)です。
「ユーザーフレンドリーであること」と「モジュール性を重視する設計」のため、初心者にも扱いやすいライブラリといえます。
Kerasは、2015年3月に、フランソワ・ショレによって開発が開始され、当初はTensorFlowやTheanoなどの機械学習のバックエンドライブラリ上で動作する「マルチバックエンド」でしたが、2020年5月にTensorFlow標準の高水準APIとしてTensorFlowに取り込まれました。
その後2023年11月28日、Keras 3.0リリース時にTensorFlowから独立、再度マルチバックエンド機能が利用できるようになっています。
(※)ニューラルネットワークとは、データを学習させるAI技術の1つで、人間の脳神経系のニューロンをモデル化したものの組み合わせです。
主に画像や音声の特徴を識別するのに利用されます。
Winserver:ニューラルネットワークとは?AIで大切な役割を果たす技術について解説!
Kerasが人気の理由
・シンプルで扱いやすく、拡張性が高い
Kerasはシンプルで直感的なAPIであるため、初心者でも利用しやすい点が大きな特徴です。
機械学習・ディープラーニングの基本を理解していれば、複雑なモデルでも数行のコードで構築できます。
また、モジュール性が高く、新しい層やモデルを容易に追加でき、拡張性に優れています。
・複数のバックエンドをサポート
TensorFlow、JAX、PyTorchなど複数の機械学習用ライブラリのバックエンドとしてサポートされているため、ユーザーは幅広い分野でKerasを利用できます。
例えば、畳み込みネットワーク(CNN)や再帰型ネットワーク(RNN)などのニュートラルネットワークにも活用できます。
豊富な組み込み関数や最適化アルゴリズムを提供し、データの前処理から模型の評価まで、機械学習のワークフロー全体をカバーしています。
・ドキュメントが日本語化されている
Kerasの公式ドキュメントは日本語に翻訳されているため、英語が得意でない方でも、Kerasの機能や使い方を容易に理解できます。
日本語のドキュメントは非常に詳細で、APIリファレンスからチュートリアル、高度な使用例まで幅広くカバーしています。
また、定期的に更新されるため、最新の情報も日本語で入手できます。
このようにKerasは、大規模データセットの処理やタスクに対応できるため、幅広いユーザーに支持されています。
Kerasでできること
・文章の自動生成
再帰型ニューラルネットワーク(RNN)や長短期記憶(LSTM)ネットワークを活用し、人間らしい文章を自動生成することができ、これによりチャットボットの開発やストーリーの生成などへの応用が可能です。
さらに、Kerasの柔軟なAPIを使用することで初心者でも複雑な言語モデルを簡単に構築し、訓練できます。
・音声認識
Kerasを使用して、高性能な音声認識システムを構築できます。
例えば、RNNやLSTMを活用して音声データを解析し、テキストに変換することや、スペクトログラム解析や音声特徴抽出などの前処理も、Kerasの豊富なライブラリを使って簡単に実装することができます。
・画像認識
畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を簡単に実装できるため、高精度な画像認識のタスクを行えます。
例えば、物体検出、顔認識、画像分類などの画像処理タスクをKerasで実現できます。
・時系列データの分析
KerasはRNN、LSTM、GRU(Gated Recurrent Unit)などの再帰型ネットワークを使用して、株価予測、天気予報といった時系列予測タスクを実行できます。
・機械学習モデルの実装
Kerasは、深層学習だけでなく、幅広い機械学習モデルの実装にも適しています。
例えば回帰分析、分類問題、クラスタリングなど、様々な機械学習アルゴリズムをKerasで実装することが可能です。
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kerasのインストール手順
Kerasは扱いやすいことや複数のバックエンドライブラリをサポートしていることから、音声認識や画像認識、文章の生成などができ、さまざまな分野で応用されています。
ここからは、このKerasを実際に使用するためのインストール方法について解説します。
前提条件
本記事では、ミライサーバーのVPSを利用しLinux環境の仮想マシンを使用します。
KerasをインストールするLinux環境のスペックについてご紹介します。
【Linux環境】
・OS:Ubuntu 22.04.2 LTS
・CPU:4コア
・Memory:4GB
・Disk:SSD300GB
※ミライサーバーではUbuntu 22.04.2 LTSなどのOSをインストールした状態からお使いいただけます。
なお、今回はTensorFlow上でKerasを動作させることを想定いたします。
そのため、インストール手順の概要は以下のとおりです。
- Pythonのインストール
- pipのインストールまたはバージョンアップ
- TensorFlowのインストール
- Kerasのインストール
- インストール後の確認
インストール手順
手順1:Pythonのインストール
最初に、Pythonをインストールします。
sudo apt-get update
sudo apt-get install python3
インストールが完了したら、バージョンを確認しましょう。
TensorFlow2をインストールするために、Pythonのバージョンは3.6以上である必要があります。
python3 -V |
手順2:pipのバージョンアップ
続いて、pipパッケージマネージャをインストールします。
TensorFlowのインストールには、pipバージョン19.0以降が必要です。
pip install ––upgrade pip |
今回の検証した環境では、すでに24.1.1がインストールされていましたが、24.2にバージョンアップされました。
手順3:TensorFlowのインストール
KerasをTensorFlow上で動作させるため、先にTensorFlowをインストールします。
pip install tensorflow |
コマンドを実行すると、多くのパッケージがダウンロード、インストールされます。
手順4:Kerasのインストール確認
TensorFlowバージョン2.0以降からKerasはTensorFlowの一部として含まれているため、TensorFlowをインストールすると自動的にインストールされます。
そのため、TensorFlowをインストールした後、Kerasも一緒にインストールされているか確認します。
pip list | grep -e keras -e tensorflow |
もし、Kerasがインストールされていない場合や、バージョンが古い場合は、以下のコマンドでインストールします。
pip install keras ––upgrade |
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まとめ
本記事では、Kerasの概要および、Linux環境でのKerasのインストール手順について解説しました。
KerasはPythonの機械学習・ディープラーニング向けライブラリの中でも、扱いやすく、また複数のバックエンドエンジンをサポートしていることから、多くの分野で利用されています。
画像認識・音声認識・文章生成などを行うことができるので、ディープラーニングを利用する場合は欠かせないライブラリといえるでしょう。
今回利用したWinServerでは、Linux環境、Windows環境ともにVPSが用意されており、検証環境を簡単に構築できます。
本記事の内容を参考に、実際にインストールを試してみてください。
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2023.08.03
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